6年担当したお客様を失った朝、少し神頼みをして神社へ行った

トラ吉

覚さん、長く担当していたお客様から急に「他の美容室を見てみたい」と言われたら、正直めちゃくちゃへこみますよね。
私もこの前、似たようなことがあってしばらく引きずってしまいました。

タカシナ カク

実は、昨夜まさに同じことがありました。
6年間担当させていただいてきたお客様から、次回予約をキャンセルしたいというLINEをいただいたんです。
正直、彼女に振られたみたいにへこんで、朝は少し神頼みのような気持ちで神社へ向かいました。

うさ美

経営者として日々数字を見ている覚さんでも、お客様一人の一件でこんなにへこむことがあるんですね。
9月最初の一日は、そんな静かな出来事から始まりました。

2026年9月1日は火曜日で、私は休みでした。毎月月初の恒例で通っている地元の二宮神社へ、いつものように参拝に行きました。「先月もありがとうございました」「今月もよろしくお願いします」と報告するための、毎月の時間です。

ただ、今月は少し違いました。心のどこかで、報告というよりも「少し助けてもらいたい」ような気持ちがあった気がします。前日の夜、6年間担当させていただいてきたお客様から、丁寧なキャンセルのLINEをいただいたばかりだったからです。

この記事は、そのお客様との一件と、その日の私自身の揺れをそのまま残した経営ログです。美容師としてへこみ、経営者として売上のことも同時に考えていた、9月1日の記録です。

6年間担当したお客様から「他の美容室も見てみます」と言われた翌朝、私はいつも通り神社へ行きました。ただ、その参拝は報告というより神頼みに近いものでした。美容師としてへこみながら、経営者として自分の売上まで考えている。矛盾したような感情が同時にある一日でした。

目次

9月1日、南宮神社へ。今日は少し神頼みだった

毎月の報告参拝

二宮神社は、地元にある地域では大きな神社です。私は毎月ほぼ決まった時期にここへ参拝しています。「先月もありがとうございました」「今月もよろしくお願いします」と、報告と挨拶を兼ねた月次のルーティンのようなものです。

特別大きなお願い事をしに行くわけではありません。その月に無事お店を回せたことへの感謝と、来月に向けた区切りをつけるための時間という位置づけでした。

今月は少し助けを求めるような気持ちで

ただ、9月1日の参拝は、いつもとは少し空気が違いました。報告というよりも、正直に書くと「少し助けてもらいたい」に近い気持ちが自分の中にありました。経営者だからといって、いつも合理的でいられるわけではありません。

数字を見て判断したり、スタッフさんとのことを考えたりしているのと同じ人間が、お客様一人からのLINEでへこみ、朝は神社に向かっている。この人間臭さは、経営ログとしてそのまま残しておきたいと思いました。

前日の夜、6年担当したお客様からLINEが届いた

夜中に目が覚めて気づいた

そのLINEに気づいたのは、夜中でした。一度目が覚めて、なんとなくスマホを見たら通知が来ていました。お名前を見た時点で、少し嫌な予感がありました。普段はご予約や日程調整のやり取りしかしないお客様だったからです。

内容は非常に丁寧なものでした。ただ、単なる予定変更ではありませんでした。個人情報や具体的なやり取りは書きませんが、要約すると次のような内容でした。

内容を読んでへこんだ

【いただいたLINEの主な内容(要約)】
・前回の仕上がりも含め、最近自分が求めているイメージとのズレを感じている
・一旦ここで区切りをつけたい
・他の美容室も一度見てみようと思っている

読み終えた瞬間、頭の中がすーっと冷えるような感覚がありました。それから、しばらく眠れませんでした。6年間、大切な髪を任せていただいたお客様です。その方が「一旦区切りをつけたい」と言ってくださったという事実は、それだけで自分の中で大きな重さがありました。

彼女に振られたような気持ちだった

正直に書きます。「彼女に振られたみたいだな」と思うくらいへこみました。比喩としても少し情けない書き方かもしれませんが、それに近い感覚でした。

大切に思っている相手から、丁寧に、でもはっきりと「一度離れます」と言われた。ここに理屈は要りません。経営者として何年やっていても、こういう瞬間には普通に人としてへこむのだと、改めて感じました。

「知っているつもり」の甘えはなかったか

一度の施術だけの話ではないかもしれない

眠れないまま、いろいろ考えました。前回の施術の何が良くなかったのだろうか。カラーの色味だったのか、カットのフォルムだったのか、仕上げのイメージだったのか。ただ、正直に言えば、一度の施術だけが理由だとは思えませんでした。

これは断定ではなく、あくまで失客直後に自分自身が振り返って感じたことです。小さなズレや自分の甘えがゆっくり積み重なって、前回の施術をきっかけに大きく表面化した可能性もあるのではないかと、そう思いました。

提案や確認が減っていなかったか

長く担当していると、どうしても「このお客様は、こういう髪型が好き」「これでいつも通り」という前提で会話が進みやすくなります。今回振り返って、自分の中で気になったのは次のような点でした。

最近、新しい提案が減っていなかったか。「今の髪型で気になるところはありませんか」と改めて聞けていたか。仕上げの見え方について、こまめに確認できていたか。「分かっているつもり」が、少しずつ手抜きになっていなかったか。

分かっているお客様と思い込んでいなかったか

お客様の好みは、時間とともに変わります。ライフスタイルも、周りの人からの見られ方も、その方自身の気分も変わります。それを「もう分かっている」と決めつけた時点で、こちらの提案は少しずつ古くなっていくのだと思いました。

今回の一件で、私自身が一番反省したのはここでした。何年通ってくださっているかは、お客様側から見れば、正直あまり関係ないのかもしれません。その日その日の一度の施術で、満足していただけたかどうか。それが積み重なっているだけなのだと、改めて感じました。

100%のリピートは難しい。でも、100%に近づける努力はできる

失客の理由はさまざまにある

美容室を経営していれば、失客そのものを完全になくすことは難しいと思っています。引っ越し、家庭環境の変化、仕事の変化、お客様自身の好みの変化。そして今回のように、こちらが十分に満足していただける技術やサービスを提供できなかったことによる失客もあります。

だから、「100%リピートしていただく」ということ自体は、現実的には難しいのかもしれません。ここは正直に受け止める必要があると思います。

知っているお客様ほど、もう一度知ろうとする

ただ、今回の一件を通して思ったのは、「100%に近づけるための努力や姿勢は、これからも持ち続けられる」ということでした。特に長く通ってくださっているお客様ほど、「この人のことは分かっている」と思い込まない。

長いお付き合いだからこそ、「最近、好みは変わっていませんか」「今の髪型で気になるところはありませんか」「次にやってみたい髪型はありますか」と、改めてお客様を知ろうとする姿勢が必要なのだと感じました。「知っているお客様ほど、もう一度知ろうとする」。今回の一番の学びは、この一行に近い気がしています。

今の自分にできることを、3つだけ伝えた

新しい美容室は3回くらい試してみてほしい

今回、お客様を無理に引き止めることはしませんでした。ご本人が「一度区切りをつけたい」と丁寧に伝えてくださっている以上、それを尊重するのが自然だと思ったからです。

そのうえで、今の自分にできることとして、3つだけお伝えしました。1つ目は、新しい美容室へ行かれる場合は、できれば一度だけで判断せず、同じ美容室に3回くらいお願いしてみてくださいということです。一度の施術だけでは、美容師側もそのお客様の髪質や好みを完全に把握するのは難しいからです。

ルコールのオリジナル商品は郵送できます

2つ目は、商品のご案内でした。そのお客様は、ルコールのオリジナル商品を日頃から使ってくださっていました。だから、「他の美容室の商品を使ってみて、やっぱり今までの商品が合っていたな、と思われたときは、商品だけでも郵送できますのでお気軽に連絡してください」とお伝えしました。

本当に困ったら、また連絡してほしい

3つ目は、いろいろな美容室に行ってみたけれど本当に困ってしまったときには、またルコールへ連絡してほしい、ということでした。その場合、無理に私が再び担当するのではなく、ルコールの女性スタッフさんをご紹介することもできるとお伝えしました。

通い慣れた空間でも、担当者が変われば、仕上がりも気持ちも変わるかもしれません。「余計かもしれませんが、頭の隅に置いておいてください」くらいの温度感でお伝えしました。

この対応を「素晴らしかった」と自画自賛するつもりはありません。今回こうなってしまった以上、今の自分にできるのはこれくらいなのかな、と思ってやっただけです。他の美容師さんなら、もっと違う言葉をかけたかもしれません。

【失客時に今の自分がお客様へ伝えた3つのこと】

・新しい美容室は、できれば同じところへ3回くらいは通ってみてほしい
・ルコールのオリジナル商品だけでも郵送できるので、必要なら連絡してほしい
・本当に困ったときは、ルコールの女性スタッフさんの紹介も可能

トラ吉

無理に引き止めなかったんですね。私だったら「もう一度チャンスをください」と言ってしまいそうです。

タカシナ カク

引き止めた方がいいのか、私も少し迷いました。
ただ、ご本人が丁寧に「一度区切りをつけたい」と伝えてくださっている以上、それを尊重した方が、結果としてはお互いにとって良い気がしました。
その代わり、今の自分にできることは、少しだけ形にしてお伝えしました。

返信しても、まだ普通にへこんでいる

そんなに簡単に切り替えられない

お客様に返信をして、その日にできることは一通りやりました。ただ、この日記を書いている時点でも、まだ少しへこんでいます。6年間担当していたお客様を一人失ったわけなので、そんなに簡単には切り替えられません。

正直に言えば、「学びになりました、明日から頑張ります」と綺麗にまとめてしまいたい気持ちもあります。でも、それをすると、この日の本当の感情が消えてしまう気がしました。まだへこんでいる、という事実も、経営ログの一部として残しておこうと思います。

できることはやった、あとは割り切るしかない

それでも、頭のどこかでは「今の自分にできることをやったなら、あとは割り切るしかない」とも思っています。過去の一件をずっと引きずり続けても、これから来てくださるお客様にも、スタッフさんにも良い影響はありません。

へこんでいる自分を無理に消さない。ただ、明日目の前に来てくださるお客様には、今の自分の全部で向き合う。この矛盾のような姿勢が、今の自分にできる精一杯だと思っています。

一方で、経営者として売上のことも考えていた

新規はスタッフさん優先、私は2,200円の指名料

ここが正直、自分でも複雑な部分です。美容師としてかなりへこんでいるのと同時に、経営者として「高品自身の売上はどうする」ということを考えている自分もいました。

現在ルコールでは、新規のお客様は基本的にスタッフさんに優先して担当してもらっています。私自身が新規のお客様を担当する場合には、2,200円の指名料を設定しています。これは単に自分の単価を上げたいからではなく、スタッフさん自身の顧客と売上を積み上げてもらうためです。

スタッフさんの売上や給与が安定していけば、最終的には私自身が少しずつ現場から離れて、経営や採用の仕事に時間を使えるようになる。2027年1月頃には新しいスタッフさんを採用できる状態を目指したい、というのが今の大きな方針です。

既存のお客様は、永遠に減らないわけではない

ただ、今回の失客で改めて意識したのは、既存のお客様は永遠に減らないわけではないという当たり前の事実でした。引っ越しなどの自然失客もあれば、今回のような失客もあります。

その状態で、私自身が新規のお客様にほぼ入らないままでいれば、理論上、自分の売上は少しずつ下がっていきます。スタッフさん優先という方針は変えたくない。ただ、店全体の運営を考えると、私自身の売上にも最低限のラインは必要だと感じました。

私自身の最低売上ラインを、一度考える必要がある

ここから先は、今後の経営課題として残しておきます。「スタッフさんへの新規優先は維持しながら、高品自身の最低売上ラインをどこに置くのか」「そのラインを下回りそうになったとき、私も新規のお客様を一部担当するのか」など、数字を見ながら考える必要があると思います。

ただし、大事なので繰り返しておきたいのですが、今日は結論を出しません。一人のお客様を失って感情的になった直後に、「やっぱり自分も新規に入ろう」と方針を変えるのは違います。今日はあくまで「これは一度数字を見ながら考えなければいけない経営課題だな」と気づいた段階です。

うさ美

お客様一人のことでへこみながら、同時に売上のことも考えている。両方が同じ頭の中にあるんですね。

タカシナ カク

そこが自分でも少しややこしいところです。
ただ、目の前のお客様を大切に思う気持ちと、店全体の経営を続けるための数字は、どちらか一方だけを見ればいいものでもないと思っています。
今日はどちらの感情も否定せず、そのまま日記に残すことにしました。

【自店に置き換えて考える】

◆長いお客様への向き合い方
・「このお客様は分かっている」と思い込んでいませんか?
・最近、改めて希望や好みを聞けていますか?
・長いお付き合いだからこその手抜きが混じっていませんか?

◆失客が起きた時の対応
・無理な引き止めになっていませんか?
・お客様側の判断を尊重できていますか?
・今の自分にできる小さな提案を、残せていますか?

◆自分の売上とスタッフさんの入客
・新規を全部スタッフさんへ回した場合の、自分の売上シミュレーションはできていますか?
・自然失客まで含めて考えられていますか?
・自分の最低売上ラインをどこに置くか、決められていますか?

未来のために離れる準備。だからこそ、今のお客様を大切にする

私は今、少しずつ現場から離れる準備をしています。スタッフさんへ新規のお客様を優先してもらったり、指名料を設定したり、採用や仕組み化に時間を使ったりしているのは、そのためです。ただ、それは「目の前のお客様を軽く見ている」ということでは絶対にありません。

むしろ話は逆で、今の現場の売上があるからこそ、スタッフさんの育成や採用、仕組み化など、未来の経営に投資できています。だからこそ、今来てくださっているお客様一人ひとりに、これまで以上に丁寧に向き合わないといけない。今回の失客は、そのことを改めて突きつけてくる出来事でもありました。

【未来の自分への経営メモ】

・失客一件で普通にへこむ、その感情を否定しない
・へこんだ日でも、翌日のお客様には全部で向き合う
・6年通ってくださった事実にきちんと感謝する
・「知っているお客様」ほど、もう一度知ろうとする
・長いお付き合いに慣れや甘えを混ぜない
・仕上がり確認と提案を減らさない
・100%リピートは難しい前提を持つ
・でも100%に近づける努力の姿勢は手放さない
・失客時に無理な引き止めはしない
・お客様側の判断を尊重する
・今の自分にできる小さな提案は形にして残す
・スタッフさんへの新規優先方針は維持する
・ただし自分の最低売上ラインは考える
・自然失客まで含めて売上を見る
・感情のまま経営方針を変えない
・「一度数字を見て考える」で止める
・目の前のお客様と未来の経営、両方を諦めない
・報告参拝でも神頼みでも、神社の時間は自分の区切りとして続ける

6年担当したお客様を失った9月1日。今の自分にできることはやりました。それでもまだへこんでいるし、経営者としては新しい課題も残りました。9月は、この揺れごと抱えたまま、目の前のお客様にもう一度ちゃんと向き合っていこうと思います。

トラ吉

覚さんでもこんなにへこむのを知って、なんだか少し救われた気がしました。

タカシナ カク

経営年数を重ねても、こういう瞬間は普通にへこみます。
むしろ、「もう慣れました」と言えるようになったら、大事な何かを失っている気がします。
だからこそ、へこむ日はへこむ日として、そのまま残しておこうと思います。

うさ美

学びで綺麗に終わらせずに、9月1日の揺れそのものが記録として残っているのが、経営ログらしいですね。
9月も、また少しずつ進んでいきましょう。

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