自分の売上を手放すことが、スタッフさんの売上と自分の時間を増やす

トラ吉

自分がずっと担当してきたお客様を、スタッフさんへ任せるのって怖くありませんか?
もし満足してもらえなかったらと思うと、自分で担当した方が安心な気もするのですが?

タカシナ カク

私も、その不安はあります。
ただ、私がすべてのお客様を担当し続けている限り、スタッフさんのお客様も増えませんし、私自身も現場から離れられません。
だから今回は、お客様の了承をいただいたうえで、一人のお客様をスタッフさんへ任せてみました。

うさ美

「任せる」は、仕事を丸投げすることではありません。
お客様の満足を確認しながら、少しずつ担当できる人を増やしていくことなんですね。

2026年8月9日は、大きな意思決定が並ぶ一日ではありませんでした。労務まわりで進めようとしていた仕事の中には、詳しい方の助けを借りるためにいったん待つことになったものもあります。予定していた原稿づくりも、相手からの返信を待つ状態でした。

その一方で、営業の中では小さくて大切な出来事がありました。普段は私が担当しているご夫婦のお客様のうち、奥様の施術を、了承をいただいたうえでスタッフBさん(本ブログでは匿名でこう呼びます)へお願いしたのです。

施術後、私はLINEで仕上がりに問題がなかったかをお聞きし、幸いにも満足していただけたことを確認できました。一人のお客様の担当が少し変わっただけの出来事に見えますが、私にとっては経営者としての役割が一段動いた一日でした。

現場から手を離すために必要なのは、自分のお客様を減らすことではなく、お客様が安心して任せられるスタッフさんを増やすことだと感じました。

目次

大きな仕事が進まない日でも、経営は少し前に進む

この日は、朝から「よし、これを一気に進めよう」と言えるような仕事が少ない日でした。ただ、進まなかったこと自体が悪いというより、今日ここで無理に決めない方がよいと判断した仕事がいくつかあった、というのが正確な表現です。

タイムカードの設定はいったん保留にした

この日、進めようとしていたのがタイムカードアプリの設定でした。ただ、勤怠管理や労働時間のルール(法律に関わる細かい部分)まで含めると手順が複雑で、私だけで進めるにはリスクがありました。

翌日、詳しい方から教えていただける予定があったため、分からない状態で無理に設定を進めず、いったん手を止めることにしました。ここは社労士さんへの相談も含めて整えていく部分なので、断定的な話は避けたいと思います。

分からないまま進めるより、分かる人に一度聞いてから動く方が、結局は早く進むと改めて感じました。

求人もLPも「待ち」の状態だった

労務のもう一つの動きとして、9月1日から求人広告を始める方針は決まっています。ただ、RejobやBeautyWorkといった媒体へ、いつまでに原稿を準備して提出するかは、まだ整理途中でした。副業で受けているLP制作の案件も、クライアントさんからの返信待ちで手が止まっていました。

経営者の仕事には、自分だけでは進められず、相手を待つ仕事もあるのだと、こういう日にあらためて気づかされます。焦っても仕方がないので、待っている間にできる小さな一手に目を向けることにしました。

いつも私が担当していたお客様を、スタッフBさんへ任せてみた

そんな日の中で、営業中に一つだけ、自分の中で意味のある一歩がありました。ふだんは私が担当していたお客様の一部を、スタッフBさんへ任せてみたことです。

ご夫婦で来店されるお客様のうち、奥様を任せた

普段、ご夫婦で来店してくださっているお客様がいます。これまではお二人とも私が担当していました。今回は、奥様の施術をスタッフBさんへお願いすることについて事前に了承をいただき、実際にスタッフBさんが担当する形で進めました。

正直に言うと、任せる前は少しの不安がありました。長くお付き合いのあるお客様ほど「いつも通りの仕上がり」を期待してくださっているはずで、そこを崩したくないという気持ちがあります。

任せること自体より、お客様が満足することが大切

ここで気をつけたのは、目的を取り違えないことです。オーナーが手離れしたいから担当を変える、ではありません。「任せること」ではなく「任せてもお客様が満足できること」がゴールだと思っています。

そのため、いきなり全部を切り替えるのではなく、まずは一回、了承をいただいたうえでお願いしてみる。そして施術後の状態を確認して、次にどうするかを決める。この段階を踏むようにしました。

施術後、お客様へLINEで確認してみた

スタッフBさんの施術が終わり、お客様が帰られた後、私はLINEで一度お客様へメッセージを送りました。担当を変えたことで、不便や不満がなかったかを確認するためです。

「仕上がりばっちりでした」と返信をいただいた

奥様からは、「仕上がりばっちりでした、ありがとうございますとお伝えください」という趣旨のお返事をいただきました。

短い返信でしたが、私にとってはとても大きな一言でした。担当を変えたことで、お客様に負担や我慢をさせずに済んだと分かった瞬間だったからです。

今後もスタッフBさんの担当で問題ないか確認した

ただ、一度満足していただけたからといって、「これで完全に引き継げた」と早合点はしないようにしています。あくまで一回の施術での話だからです。

そのうえで、今後もスタッフBさんが担当して問題ないかも、あわせて確認させていただきました。返信は「問題ないです」という趣旨で、そこで初めて「一人のリピート客がスタッフBさんに増える可能性」がはっきり見えてきました。

任せた後に確認するところまでが、私にとっての「任せる」なのだと思います。

トラ吉

スタッフさんへ任せた後に、わざわざお客様へ確認すると、逆に不安にさせてしまわないでしょうか?

タカシナ カク

聞き方には気をつける必要があると思います。
ただ私は、担当を変えたことで不便や不満がなかったかを知ることは大切だと考えています。
任せっぱなしにせず、お客様の声を確認しながら次の判断をすることを意識しています。

【自店に置き換えて考える①:オーナー依存】

  • オーナーしか担当できないお客様は、どれくらいいらっしゃるでしょうか?
  • オーナーが休むと、店全体の売上が大きく下がる状態になっていませんか?
  • スタッフさんへ任せられるお客様は、本当に一人もいないでしょうか?

一人のお客様を任せることで、3つのメリットが生まれる

今回の一つの出来事を振り返ってみると、担当を任せることは、少なくとも3人の立場からメリットが生まれ得るのだと感じました。読者の方が自店で考えるときの参考になればと思い、整理してみます。

【一人のお客様を任せると生まれる3つのメリット】

  1. お客様にとってのメリット
  2. スタッフさんにとってのメリット
  3. オーナーにとってのメリット

お客様は、二人同時に施術できれば時間を短縮できる

今回のようにご夫婦で来店されるお客様の場合、担当できるスタイリストが2人いれば、同じ時間帯にお二人の施術を進められる可能性があります。もし1人で順番に担当すれば、後から施術する方はどうしても長く待つことになります。

もちろん、当日のメニュー内容や予約の入り方によっては、必ず短くなるとは言い切れません。ただ、「担当できる人が複数いること」自体が、お客様への選択肢を増やすことにはつながると思います。

スタッフさんには、一人のリピート客が増える

売上を増やす方法は、新規のお客様を集めることだけではありません。すでにお店との信頼関係があるお客様を、了承のうえで担当できることも、スタッフさんの売上を増やす一つの方法です。

今回のように「今後もこの人でお願いします」と言っていただけると、次回以降の指名や、スタッフさん自身のリピート客につながっていきます。新規獲得の力を借りずに、スタッフさんの顧客が一人分増える、というのは大きな意味があると思います。

私は、一人分の施術時間を未来の仕事へ使える

私自身にとってのメリットは、時間です。今回のように一人のお客様を任せられれば、私はその施術時間を別のことに使えます。使い道は、労務、採用、集客、仕組み化、経営ログの執筆など、いくらでもあります。

ここで大事なのは、売上を「ただ手放した」わけではないということです。店全体で見れば売上は残り、スタッフさんの売上として計上されます。私の手元には、代わりに「経営に使える時間」が戻ってきます。

自分の売上を守り続けるより、スタッフさんが売上を作れる状態を増やした方が、店全体の売上と私の経営時間を同時に増やせる可能性があります。

【自店に置き換えて考える②:スタッフさんの売上】

  • スタッフさんへ、新規のお客様を十分に任せられているでしょうか?
  • 既存のお客様にも、担当者の選択肢を提示できる場面はないでしょうか?
  • 任せた後のリピート率や満足度を、意識して確認できていますか?

オーナーの仕事を「自分で売る」から「売れる人を増やす」へ

今回の一つの出来事を通して、あらためて思ったことがあります。オーナーの仕事は、時間の経過とともに「自分が売る」から「売れる人を増やす」へと、少しずつ形を変えていくものなのかもしれない、ということです。

自分が一番売る状態には限界がある

私が施術できる人数には限界があります。売上を増やすたびに自分の予約枠を増やしていけば、いつまで経っても現場から離れられません。自分が休むと売上が落ちる構造から、なかなか抜けられなくなります。

スタッフさんを採用したとしても、お客様がスタッフさんへつかなければ、オーナーの負担は結局あまり変わりません。人数だけが増えて、私はずっと同じ位置に立ち続けることになってしまいます。

スタッフさんへお客様がつく仕組みを作る

そのために必要なのは、スタッフさんへお客様がついていく仕組みだと考えています。具体的には、こんなことです。

  • 新規のお客様を、できるだけスタッフさんへ優先的に担当してもらう
  • 既存のお客様にも、了承をいただける場合は担当の選択肢を広げる
  • 一度任せたら、必ず満足度を確認する
  • 次回予約やリピートにつながっているかを見る
  • 問題があれば、次の担当時までにサポートや練習を進める

経営者の売上を増やすことより、売上を作れる人を増やすこと。これが今、私が意識したい方向です。

「手放す」は、自分が何もしなくなることではない

ここで誤解したくないのは、「手放す=オーナーが何もしなくなること」ではない、ということです。手放すためにこそ、経営者の仕事があります。

  • 誰に任せるかを判断する
  • お客様へきちんと説明する
  • スタッフさんをサポートする
  • 結果を確認する
  • 問題があれば改善する
  • 少しずつ任せる範囲を広げていく

現場から手を離すとは、責任まで手放すことではなく、自分が直接やらなくても価値を届けられる仕組みを作ることだと感じました。

トラ吉

でも、任せることが増えると、オーナーは現場での楽しさや、お客様との関係が薄くなってしまわないでしょうか?

タカシナ カク

私も、その気持ちはあります。
ただ、私はすべてのお客様の担当を手放すつもりはありません。
お客様の満足を守れる範囲で、少しずつ任せる人を増やしていく、というバランスを大切にしたいと思っています。

任せるときに、私が忘れたくないこと

今回のように、お客様をスタッフさんへ任せていくうえで、自分自身が忘れないようにしたいことを整理しました。すべてのお店に当てはまる正解ではないと思いますが、私にとってのチェックリストとして残しておきます。

【お客様をスタッフさんへ任せる前に確認したいこと】

  • オーナー側の都合だけで担当変更を決めていないか
  • お客様へ選択肢としてきちんと伝えているか
  • 了承をいただいたうえで進めているか
  • 任せるスタッフさんの技術や対応を、事前に確認できているか
  • 必要に応じて、当日のサポートができる体制になっているか
  • 施術後にお客様の満足度を確認する仕組みがあるか
  • 一度で「完全に引き継げた」と早合点していないか
  • スタッフさん本人の意向も、あわせて確認しているか
  • 問題があったときにすぐ修正できる余裕を持っているか

【自店に置き換えて考える③:オーナーの時間】

  • 自分が施術をしなくても、店に売上が残る仕組みがあるでしょうか?
  • 1人のお客様を任せたら、その空いた時間を何に使うか決まっていますか?
  • 空いた時間を、本当に経営の仕事へ使えているでしょうか?

未来の自分への経営メモ

最後に、この日感じたことを、未来の自分のためにメモとしてまとめておきます。

【未来の自分への経営メモ】

  • 自分のお客様だからといって、自分だけが担当する必要はない
  • 最優先はお客様の満足
  • 担当変更はお客様の了承を取ってから進める
  • 任せた後は必ず満足度を確認する
  • 問題なければ少しずつ担当を引き継ぐ
  • スタッフさんのお客様を少しずつ増やす
  • スタッフさんの売上を伸ばす仕組みを作る
  • 自分の施術時間を少しずつ減らす
  • 空いた時間を経営の仕事へ使う
  • 現場から手を離しても店の売上が維持できる状態を目指す
  • 任せることと、責任を手放すことを混同しない

余談ですが、この日から家族が妻の実家へ一週間ほど行くことになり、家に一人でいる時間が増えました。少しだけ「一人暮らしみたいな時間」を楽しみに感じつつ、いざ静かになるとやはり少し寂しさもあります。経営とは直接関係ありませんが、こういう時間の使い方も、後で振り返ると意外と大事な記憶になる気がしています。

私が目指したいのは、自分がたくさんのお客様を担当して売上を作る店ではなく、スタッフさん一人ひとりがお客様から選ばれ、私が現場から離れても売上が残る店です。そのためには、自分の仕事を少しずつ安心して任せられる状態を作る必要があります。

トラ吉

でも、自分のお客様を任せていくと、自分の売上が下がるのが少し怖くありませんか?

タカシナ カク

もちろん、目の前の自分の売上だけを見れば減ることもあると思います。
ただ私は、自分一人の売上ではなく、お店全体で売上を作れる状態を目指したいと思っています。
そのための小さな一歩として、今回のお客様を任せられたことは大きかったです。

うさ美

手放すことで、スタッフさんのお客様が増え、オーナーには経営の時間が生まれる。
一人のお客様からでも、少しずつ仕組みを作っていけそうですね。

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