店を良くしたくて、今うまくいっているものまで壊しかけていた。

トラ吉

覚さん、最近ちょっと聞きたいことがあるんです。
店を良くしようと思って、値上げしたり、ルールを変えたり、採用を進めたり、次から次にやりたくなるんですけど、これって全部やった方がいいんでしょうか?

タカシナ カク

その気持ち、本当によく分かります。
私も2026年9月15の週は、同じような状態でした。
でもこの1週間で、「変えることだけが経営ではないのかもしれない」と思う出来事が続いたんです。

うさ美

今回は、店を良くしたくて動きすぎていた覚さんが、少し立ち止まって考え直した1週間の経営ログですね。

2026年9月15から9月19までのおよそ1週間、経営コンサルの松下さんとの相談や、スタッフさんとの会話、いつもの現場を通して、少しだけ自分の見方が変わる経験をしました。

そのときの私の頭の中には、新規料金の見直し、スタッフさん同士の入客の考え方、採用の進め方、2店舗目の可能性、労務や給与制度の整備など、「店を良くするために変えたいこと」がいくつも同時に並んでいました。ひとつひとつは間違いではないと思います。ただ、全部を一度に動かそうとしていたことに、この週の途中で気づかされました。

今回の1週間で私が感じたのは、良くしようとして変え続けることだけが経営ではない、ということでした。今うまくいっているものは壊さず、感情ではなく事実を見て、必要なところだけを変えていくのも経営者の仕事だと、改めて考え直すきっかけになりました。

目次

9月15、私はまた何かを変えようとしていた

この日は、経営コンサルの松下さん(いつもお世話になっているアドバイザーです)と相談する時間を作りました。相談する前の私の頭の中には、次のようなテーマが同時に並んでいました。

  • 新規料金を10月から上げること
  • スタッフさん同士のフリー入客や掛け持ちの考え方
  • 採用をどう進めるか
  • 2店舗目についてどう考えるか
  • 労務や給与制度の整備

言葉にして並べてみると、どれも「店を良くしたい」という気持ちから出ていることは確かです。ただ、これを松下さんに話しているうちに、私は今、ひとつずつ順番に取り組むというより、あれもこれも同時に変えようとしているということが、自分でも見えてきました。

「今うまくいっているものを、自分で壊さない」

相談の中で松下さんが繰り返し話してくれたのは、「今は黒字なんだから、焦って壊さなくていい」「総合売上の方が大事」「うまくいっているものを自分で崩さない」という趣旨の言葉でした。

特に印象に残ったのは、新規料金の値上げについての話です。私はこのとき、10月から新規料金を上げる方向で考えていました。ただ、松下さんとの話の中で、次のような視点が出てきました。

スタッフさんの売上がまだ十分に積み上がっていない段階で新規料金を上げてしまうと、新規のお客様の人数が減る可能性があります。それよりも、今動いている「集客 → スタッフさんへの入客 → リピート」という流れをまず育てた方がいい、という考え方です。

値上げそのものが悪いという話ではありません。今の自分の店がどの段階にいるのかを見ないまま、次の施策をやりたくなっていないか。そこが、私自身に一番刺さった部分でした。

この日以降、10月から新規料金を上げるという案は、いったん止めています。

トラ吉

新しいことを始めたい気持ちが強くなると、確かに、今動いているものが見えなくなる気がします。
「今うまくいっているもの」って、意外と自分では気づきにくいですね。

タカシナ カク

そうなんです。
特に、余裕ができたり手が空いたりすると、「次は何を変えよう」「もっと良くできないか」と考えてしまう自分がいます。
今まで店を改善してきた原動力でもあるんですが、そのままだと積み上げてきたものまで一緒に動かしてしまう可能性があると思いました。

何かを変えたくなる前に、一度自分に聞く

今回の1週間で、私自身が「余裕ができると何かを変えたくなるタイプ」だということを、はっきり感じました。これは今まで店を少しずつ改善してきた原動力でもあり、悪いことばかりではないと思います。

ただ、思いつきをすぐ実行してしまうと、せっかく積み上がってきたものまで壊す可能性がある、ということも今回の相談を通して感じました。だから、これから新しいことを始めたくなったときは、「これは今まで積み上げてきたものを崩さないか?」と、いったん自分に聞いてみるようにしようと思いました。

スタッフさんへの感情と、経営判断は分けて考える

この時期の私は、スタッフさんの考え方や態度について、正直に書くと、少し引っかかることもありました。

ただ、松下さんとの話の中で、スタッフさん全員に「自分と同じ考え方」「自分の理想通りの性格」を求める必要はない、という当たり前のことを、改めて自分に確認するような時間になりました。経営者として見るべきなのは、次のような事実の部分だと思います。

  • 仕事として必要なことができているか
  • お客様に不利益が出ていないか
  • 売上や結果に問題が出ているか
  • 店として大切なルールから外れていないか

これらを離れて、性格の好き嫌いや、自分の理想像と違うことだけで判断してしまうと、それは経営判断ではなく、ただの感情の反応になってしまいます。

感情はあってもいい。ただ、反応は選べる

松下さんとの会話でもうひとつ印象的だったのは、「感情と反応の間に時間を作る」という考え方でした。

スタッフさんの一言や態度に、その場でイラッとする瞬間は、私にもあります。感情が出ること自体は自然なことだと思います。ただ、その感情のまま、その場ですぐ反応する必要はありません。一晩寝かせて、翌日にもう一度考えてから伝えても遅くない、ということです。

感情はあってもいい。ただ、反応は選べる。この考え方は、今の私にとって、経営者として大事にしたいポイントになりました。

意見は聞く。でも、最後に決めるのは経営者

9月17は、スタッフさんたちと店の今後について話す時間を作りました。この日は、私がすべてを決めてから伝えるのではなく、スタッフさんがどう考えているのかも聞くようにしました。

スタッフAさんは、店について自分の考えをしっかり持っている方だと、改めて感じました。以前の私だったら、意見が強めに出てくることを「扱いづらい」と受け取っていた部分もあったかもしれません。ただ、見方を変えれば、それだけ店のことを自分ごととして考える力がある、とも受け取れます。

スタッフさん2人からは、「もっとお店の数字を知りたい」という趣旨の話も出ました。ここは私にとって印象的な言葉でした。数字を見せること自体はできます。ただ、私は、数字だけを渡して終わりにはしたくないと思いました。

「なぜこの数字を見るのか」「その数字が、みんなの給与や働き方、店の存続とどうつながっているのか」まで一緒に伝えたい、というのが今の考えです。

意見を聞くことと、経営判断を委ねることは違う

ただし、意見を聞くことと、経営判断そのものをスタッフさんに委ねることは、別のことだと考えています。

意見は聞く。考えてもらう。そのうえで、最終的な判断と責任は経営者である私が持つ。ここが混ざってしまうと、決めきれない経営者になったり、逆にスタッフさんに責任を持たせすぎる形になったりする気がします。

うさ美

意見を聞くのと、判断を任せてしまうのは、違うことなんですね。
スタッフさんが安心して意見を言えるのは、最後は経営者が引き受けてくれると分かっているからかもしれません。

タカシナ カク

そうかもしれません。
「聞くけれど、決めるのは私」というラインを、自分自身がぶれないように持っていたいと思います。

経営者にも、経営者ではなくていい時間が必要だった

9月17の夜には、新宿で松下さんのギルドのコアメンバーとの集まりがありました。同じ経営者という立場の人たちと話す中で、普段スタッフさんの前ではあまり出さない部分も、素直に話せた時間でした。

楽しく飲んで、少し飲みすぎて、電車を乗り過ごしてしまうくらいでした。「経営者は孤独です」と大げさにまとめたい話ではありません。ただ、スタッフさんの前ではどうしても経営者として考えたり振る舞ったりする自分がいる中で、同じ立場の人と話せる場所があることは、自分にとって大切だった、と感じた夜でした。

9月18、必要なお金まで使わないことが、正解とは限らない

9月18は、前日の飲酒もあって、朝の体調は良い方ではありませんでした。それでも、いつものサロンワークに加えて、複数のLP制作、自店の求人LP、夜20時からの打ち合わせなど、やることが多い日でした。

正直に書くと、やることが多すぎると、逆に何から手を付けていいか分からなくなるという感覚がありました。それでも、「一つだけでも終わらせる」という考えで、順番に動くようにしました。

この日、以前から気になっていたタオル乾燥の問題について、乾燥機を購入することにしました。もともとは、サーキュレーターなどでお金をあまりかけずに解決しようとも考えていました。ただ、雨の日にタオルが乾かず、私自身が営業後にコインランドリーへ持って行くこともありました。

今後スタッフさんが増え、私が現場から少しずつ離れていくことを考えると、毎回オーナーがタオルを持って走る仕組みを残しておくのは難しいと思いました。だから、この部分は設備投資として解決することにしました。

お金を使わないことが経営ではありません。必要なところにはお金を使って、人が無理をしなくても回る店にしていくことも、経営者の判断のひとつだと感じました。

ただし、乾燥機を入れたことで実際にどれくらい効率が上がったのか、店の空気がどう変わったのかは、これから見ていく段階です。効果を大きくまとめてしまわず、今は「必要な設備投資として決めた」ところまでにしておきます。

9月19、スタッフさんに「言わない」という判断もある

9月19は、朝の筋トレや食事など、いつもの生活リズムに戻せたこともあって、自分の状態も落ち着いていました。この日はスタッフBさんとの2人体制でした。

この日、スタッフBさんは、自分が担当したお客様の仕上がりに納得できず、後ろの予約が空いていたこともあり、「直させてください」と自分から対応していました。私はそこに、お客様に対する責任感を感じました。

一方で、その日のスタッフBさんは、いつもより笑顔や元気が少ないようにも見えました。以前の私なら、「もっと笑顔で」「もう少しこうした方がいい」と、その場でひとこと伝えていたかもしれません。ただ、今回は言いませんでした。

なぜ、あえて何も言わなかったか

この日、私が声をかけなかった理由は、次のようなことを考えたからです。

  • 次回予約はきちんと取れている
  • お客様に対して責任のある行動ができている
  • 現時点で、明確な問題として出ているものはない

この状態で、私の理想像だけを基準に「もっとこうした方がいい」と伝えることが、本当に育成につながるのか。そこは正直、少し立ち止まって考えました。

スタッフさんを育てることと、自分好みのスタッフさんにすることは、同じではありません。何でも指摘することが育成ではない、という当たり前のことを、9月19に改めて自分に確認したような1日でした。

介入するのは、どんなときか

ではまったく声をかけないのが正解かというと、そういうことでもないと思います。介入するタイミングとしては、次のようなときだと今は考えています。

  • 数字にはっきり影響が出ている
  • お客様に不利益が出ている
  • 店として決めた基準から外れている
  • 同じ問題が何度も繰り返されている

ここに当てはまるなら、経営者として伝える必要があります。ただ、そのラインを越えていない状態で、自分の好みや理想像だけを理由に細かく口を出してしまうと、それは育成というより「自分好みのスタッフさんへの調整」になってしまう気がします。

トラ吉

自分から見て気になるところがあっても、あえて言わない、というのは正直むずかしいです。
覚さんは、どうやってその線引きをしているんですか?

タカシナ カク

私もまだ悩みながらです。
ただ今回は、「数字」「お客様」「店のルール」の3つを一度確認してから、それでも問題があれば伝えよう、と考えるようにしました。
感情だけで反応しないための、自分なりのブレーキです。

変える前に、一度立ち止まるようになった

この1週間を通して、自分の中で変わったのは、大きな結論というよりも、「変える前に一度立ち止まる」という手前のクセです。

これまでの私は、「良くしたい」「もっとできる」と思ったら、すぐ次の施策に手を伸ばしていました。ただ、それを繰り返していると、うまくいっている部分まで一緒に動かしてしまうこともあります。松下さんとの相談は、そのことに気づかせてくれた時間でした。

【今回の1週間の学びメモ】

◆変える前に確認する
・今、店で「うまくいっているもの」は何か
・新しい施策は、それを崩さないか
・全部を同時に変えようとしていないか

◆スタッフさんへの見方
・性格の好き嫌いではなく、事実で見る
・数字・お客様・店のルールから外れているかで判断する
・意見は聞く。でも決めるのは経営者

◆感情との付き合い方
・感情が出ること自体は自然
・感情と反応の間に時間を作る
・一晩寝かせてから伝える選択肢を持つ

◆お金の使い方
・「お金を使わない」だけが正解ではない
・人が無理をしなくても回る仕組みにお金を使う
・ただし、効果はこれから検証する前提で考える

まとめ ─ 変えることだけが経営ではないのかもしれない

今回の1週間で、私が完全に答えにたどり着いたわけではありません。「経営者として一段上がった」というきれいな話でもありません。

ただ、少しだけ見えてきたのは、経営は「変えること」だけでできているわけではない、ということです。

  • 今うまくいっているものは、そのまま残す
  • 問題があるところは、事実を見ながら変える
  • 感情だけで判断しない
  • 必要なところには、お金も使う
  • スタッフさんに聞くところと、自分で決めるところを分ける

この繰り返しなのかもしれない、というのが、今の私の感覚です。まだ現在進行形ですし、これからも間違えると思います。

これから何か新しいことを始めようとしたときは、まず自分に、こう聞いてみようと思います。「これは、今まで積み上げてきたものを崩さないか?」

うさ美

「変えることだけが経営ではない」というのは、少し意外でしたが、聞いてみると納得です。

タカシナ カク

私自身、まだ答えは出せていません。
ただ、今回の1週間で、変える前に一度立ち止まるクセを少し持てるようになったのは、大きな収穫だったと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次