トラ吉覚さん、スタッフさんとの面談って、どうしても「できていないこと」を指摘する時間になってしまうんです。
でも、それでいいんでしょうか?



その気持ち、本当によく分かります。
私も以前は、面談で課題を伝えることが仕事だと思っていました。
ただ最近は、できていないことより先に、「この2か月で何が変わったか」を本人に話してもらうようにしています。



今回は、2026年9月25日にスタッフBさんと行った個別面談を振り返りながら、覚さんが面談の中身をどう変えてきたかを整理した記事ですね。
2026年9月25日は、スタッフBさんとの約2か月ぶりの個別面談でした。前回は7月30日だったので、ちょうど2か月ほどが経っています。この2か月は、スタッフBさん自身の中でも、お客様との関係の作り方や、仕事の進め方に小さな変化があった時期でした。
以前の私は、面談というと「評価」「査定」「できていないことの伝達」をする時間だと考えていました。もちろん、必要なときにはそれも伝えます。ただ、それだけで終わってしまうと、スタッフさん本人が自分の変化や成長を言葉にする機会がなくなってしまう、と感じるようになりました。
今回の面談で意識したのは、オーナーが評価を伝える時間だけにしないことでした。本人自身にこの2か月で何ができるようになったのかを言葉にしてもらうことで、自分の変化を自分の目で確認できる時間にしたい、と考えました。
面談を「評価」で始めないと決めた理由
この日、面談を始める前に、私の中で一つだけ決めていたことがあります。それは、最初に「できていないこと」から話さない、ということです。
以前の面談では、どうしても最初に、「ここは良くなった、ただここはまだ課題だね」というように、評価と課題を一緒に渡していた時期がありました。本人にとっては、「評価されに来た」という感覚が強く残ってしまっていたと思います。
【今回の面談で意識したこと】
・最初に「できていないこと」から話さない
・この2か月で「変わったこと」を本人の口から話してもらう
・自己評価の数字だけで、話を終わらせない
・課題は、「できない」ではなく「どんな場面で難しさを感じるか」で聞く
・給与や契約の話は、面談の後半でまとめて伝える
評価面談と、振り返り面談は少し違う
評価面談と、振り返り面談は、似ているようで少し違うと感じています。
評価面談は、オーナー側が「ここまで来た」「ここは足りない」と結論を伝える場です。振り返り面談は、本人自身が「この2か月で何が変わったか」「どこに難しさがあるか」を言葉にしていく場です。
この日は、意識的に振り返りの時間にしました。評価や査定が目的ではなく、スタッフBさん本人に、2か月の変化を自分の口で話してもらう時間として進めました。



評価面談を悪いと言っているわけではないんですよね?
場面によって、使い分けるイメージですか?



そうですね。
評価や査定が必要な場面もあります。
ただ、評価だけが面談の役割になってしまうと、本人が自分の変化を言葉にする機会が無くなる気がしていて。
今回は、振り返りに時間を使う回だと決めていました。
スタッフBさん自身が話してくれた、2か月の変化
面談の中で、スタッフBさん自身の口から出てきた変化は、私にとって想像以上のものがありました。言葉にしてもらうことで、私が見えていなかった部分も見えてきた気がします。
リピートと、次回予約の変化
まず話に出たのは、リピートと次回予約についてです。
- リピートしてくださるお客様が、少しずつ増えてきている
- 次回予約を取ってくださるお客様も、以前より増えている
- 以前は「3回目まで来ていただく」という意識が強かった
- 今は、3回目を強く意識しすぎず、長い関係を考えるようになっている
私にとって印象的だったのは、「3回目を強く言わないようにしている」という部分です。以前の私は、新しく入ったスタッフさんには「まずは3回目まで来ていただくこと」を一つの目標として伝えてきました。
ただ、スタッフBさん自身が、3回目を目標に置くことから一歩外側に出て、長期的な関係を意識する段階へ入ってきているのは、本人の中で起きている変化だと感じました。
「仕上がりの勝ちパターン」ができてきた
仕上げの話では、スタッフBさん本人の中で、少しずつ「自分の勝ちパターン」ができてきている印象を受けました。
たとえば、仕上げで使うブローローションやクリスタルジェル(どちらも仕上げの質感を整えるスタイリング剤です)の使い分けなどです。これらは、お店で揃えているアイテムの中から、本人が「このお客様にはこれ」「このスタイルにはこの質感」と自分なりに選べるようになってきている、という趣旨の話でした。
オーナーが「これを使いなさい」と細かく決めてしまうより、スタッフさん本人が選べる状態になってきていることの方が、長い目で見ると大きいと感じました。
カウンセリングで、聞ける深さが変わってきた
カウンセリングについても、変化がありました。
以前のスタッフBさんは、カウンセリングのときに、同じような質問を同じ順番でしていた時期がありました。マニュアル通りに話を進めることが悪いわけではありません。ただ、お客様によって反応は違いますし、本当に大事な一言を聞き逃してしまう可能性もあります。
今回の面談で確認できたのは、
- お客様によって、強調するポイントを変えられるようになっている
- 以前より、話の深いところまで聞けるようになっている
- マニュアル通りではなく、相手に合わせて進めている
という変化でした。これはスタッフBさん本人が、お客様一人ひとりを見るクセがついてきている証拠だと感じています。
どうやって日々の積み重ねをカウンセリングの質につなげていくかについては、以前書いたスタッフさんが変わったのではなく、私の伝え方が変わったと思った1日も、自分にとっての振り返りになりました。
自己評価の数字より、「言葉」を聞くようにした
この日、スタッフBさん自身に、現時点の自己評価を聞きました。
本人は、現在の自分の仕事を「4〜5程度」と感じているようでした。以前はもっと低く見ていた時期があったことを考えると、本人の中でも、少しずつ自信がついてきているのだと思います。
私自身から見た評価は、「5〜6程度」です。本人の自己評価より、少し上に見えています。この差は、スタッフBさんがまだ自分を少し厳しめに見ている結果だと感じました。
自己評価の数字だけで判断しない
ただ、面談の中で意識していたのは、自己評価の数字そのものだけで、話を進めないことでした。
「4〜5」という数字そのものには、あまり意味はありません。大事なのは、その数字の裏に、本人のどんな実感があるのかです。
たとえば、「3から5に上がった」と本人が感じているなら、そこに至るまでの出来事を聞いていく。「まだ5に届かない」と感じているなら、何が足りないと本人が感じているのかを聞いていく。数字そのものではなく、数字の裏側にある言葉を聞きに行くイメージです。



数字を聞きながら、数字そのものを目的にしない、という感じですね。



そうなんです。
自己評価の数字だけで「じゃあもう少し頑張ろう」と締めてしまうと、せっかくの振り返りの時間が、ただの点数付けになってしまう気がしていて。
その数字の裏にあるエピソードまで聞くようにしました。
課題は「縮毛矯正と、焦りそうな場面」
変化や良かった部分だけで面談を終わらせても、それはそれで片手落ちになります。本人が今、どこに難しさを感じているかも、きちんと聞いておきたいと思いました。
本人が感じている難しさ
スタッフBさんの中で、今、少し難しさを感じているのは、
- 縮毛矯正が、まだ少し苦手に感じる
- 時間が迫っているときに、焦りやすくなる
- イレギュラーが起きたとき、気持ちが揺れることがある
という部分でした。
仕事のスピードそのものについては、大きな問題ではないという話も出ました。普通のメニューを時間内に収めることは、できるようになってきています。
ただ、時間が迫る、予定が崩れる、お客様の髪が思ったより読みにくい、といった「ちょっとイレギュラー」が重なった瞬間に、焦りが出やすい、という自己認識でした。
「できない」ではなく「焦ったときに判断がぶれる」
この話を聞きながら、私が感じたのは、課題を「縮毛矯正ができない」と大きく括ってしまうと、本人も次に何をすればいいか見えにくくなるな、ということです。
縮毛矯正そのものが全くできないわけではなく、焦った場面で判断がぶれるのだとしたら、取り組むべきは「焦ったときの自分」をどう扱うか、になります。
たとえば、
- 一度深呼吸する
- 時間が足りないと感じたら、先に声をかけてもらう
- 無理に挽回しようとせず、必要なら私がサポートに入る
こういった具体的な場面を、本人と一緒に言葉にしていく方が、「縮毛矯正を練習する」よりも、実際の現場での再現性が高い気がしています。
この辺りは、以前書いた問題が起きない店を作るのは難しい。でも、同じ問題が起きにくい店にはできる。でも触れた「同じ問題が起きにくい形を作る」という考え方と、どこかでつながっていると感じます。
面談で意識したのは、「評価」より「言葉にしてもらうこと」
今回の面談で意識したのは、オーナー側がきれいにまとめた評価を渡すことではなく、スタッフBさん自身に、自分の2か月を言葉にしてもらうことでした。
「変わったね」だけで終わらせない
面談で、オーナーから「ここが変わったね」「ここは成長したね」と伝えること自体は、悪いことではありません。本人のモチベーションにもつながります。
ただ、オーナー側の言葉だけで評価が完結してしまうと、本人の中にはっきり残らないことがあります。たとえば、オーナーがせっかく「ここが良くなった」と伝えても、本人がそれを自分の変化として認識していなければ、記憶に残りにくい気がします。
だから今回は、オーナーが「変わったね」と伝えるより先に、本人に「この2か月でどこが変わりましたか」と聞くようにしました。
本人が言葉にしたことは、本人の中に残る
これは、スタッフさんに限らず、自分の経営判断でも同じだと感じています。他人から言われたアドバイスより、自分で書き出した言葉の方が、記憶にも行動にも残ります。
この辺りは、以前書いたスタッフさんに伝えすぎて、私が疲れていた。「大枠が合っていればいい」と考え直した日とも、少しだけ重なる部分があります。
伝えすぎると、オーナーが疲れるだけでなく、スタッフさん自身が自分で考える時間を奪うことにもなる、という感覚です。



正直、ここまで聞いてきて、面談って「オーナー側ががんばる場」ではないんですね。
どちらかというと、本人に話してもらう場なんですね。



そうかもしれません。
オーナーが準備したことを一方的に話す回も必要だと思いますが、今回のような振り返り面談では、私が話す量を2〜3割くらいに抑えるイメージで臨みました。
話していないときの時間が、本人の中で言葉を整理している時間なんだと思います。
面談だけで、スタッフさんは成長しない
ここまで書くと、「面談さえすればスタッフさんは成長する」という話に聞こえてしまうかもしれません。ただ、私はそう思っていません。
面談は、あくまで日々の仕事の中で起きていることを、言葉として整理する場所です。日々の現場で、お客様とのやり取りや、同じ店で働くスタッフさん同士のやり取りの積み重ねがなければ、面談だけで何かが変わることはありません。
日々の積み重ねがあるから、面談で言葉になる
スタッフBさんが「リピートが増えた」「カウンセリングで深く聞けるようになった」と話せるのは、2か月の現場があったからです。面談で急にそう感じ始めたわけではありません。
オーナーが面談でできるのは、
- 本人が気づいている変化を、言葉にしてもらう
- 本人が気づいていない変化を、少しだけ伝える
- これからの関わり方や目標を、一緒に整理する
という範囲だと感じています。面談を万能のツールにしないのも、大事な感覚です。
だから、面談と現場の両輪で見る
面談で確認できたことは、現場での関わり方にも反映させていきたいと思います。たとえば、「焦ったときに判断がぶれる」というスタッフBさん自身の自己認識は、今後、現場で焦りそうな場面を見かけたときに、私がどう声をかけるかの判断材料になります。
その意味で、面談は現場と切り離された特別な時間ではなく、現場をもう一歩深く見るためのメガネのような役割だと感じました。
10月1日からの雇用条件についても、確認した
この日、面談の中で、10月1日からの雇用条件についても確認しました。
具体的には、
- 無期雇用契約への切り替え
- 給与の1万円増額
- 有給休暇10日の付与
という内容です。
ただ、記事の中心はここではないので、詳しくは書きません。給与や契約の話は、面談全体の中で言えば一部分です。
面談を「給与通知の時間」にしてしまうと、せっかく振り返りに時間を使っても、本人の記憶には「給料が上がった」だけが残りがちです。だから今回は、振り返りを先にして、雇用条件の話は後半でまとめて伝えました。
未来の自分への経営メモ
【未来の自分への経営メモ】
・面談を「評価の場」だけにしない
・できていないことより先に、変化を言葉にしてもらう
・課題だけを探す面談にしない
・焦りやすい場面を具体的に言葉にする
・できるようになったことも、本人の口で確認する
・自己評価の数字そのものを目的にしない
・給与や契約の話で面談を終わらせない
・面談と現場を切り離さない
・面談だけで成長させようとしない
・オーナーが話す量を抑える日を作る
まとめ ─ 面談は、本人に言葉にしてもらう時間でもあった
今回の面談で、私自身が改めて感じたのは、面談は「オーナーが評価を伝える時間」だけではなく、「本人に自分の変化を言葉にしてもらう時間」でもある、ということでした。
スタッフBさんは、この2か月でリピートや次回予約が少しずつ増え、カウンセリングでも、以前より深く聞けるようになってきています。一方で、縮毛矯正や、焦ったときの判断に、まだ難しさを感じている部分もあります。
両方を本人の口で聞けたことで、私自身も、現場での関わり方を少し調整できそうです。
面談をすればスタッフさんが成長するわけではありません。ただ、面談を通して、本人が自分の変化を言葉にできる時間を作ることで、現場での1日1日の過ごし方が、少し変わっていく可能性はあると感じました。



面談の中身を、オーナーが話す時間から、スタッフさんが話す時間へ変えていく、ということですね。



今回に関しては、そうでした。
毎回同じやり方で面談するわけではありませんが、この2か月のように、少しずつ変化が出てきている時期は、本人に言葉にしてもらう方が合っていたと感じます。
次の面談は、また違う形になるかもしれません。
