トラ吉覚さん、スタッフさんにもっと行動してもらいたいときは、経営者が強く指示を出した方がいいのでしょうか?
本人に任せているだけでは、なかなか売上や成長につながらない気もします。



私も以前は、経営者が正しい答えを伝えなければ、人は動かないと思っていました。
でも今回改めて感じたのは、人を動かすことより、本人が自分の目的から行動を選べる環境を作ることの方が大切だということです。
2026年8月3日、7月分の月報を顧問の松下さんへ提出しました。
7月の美容室の売上は、税込275万円でした。
これは、私が美容室を経営してきた中での過去最高売上です。
新規のお客様は35名で、そのうち約7割のお客様が次回予約をしてくださいました。
次回予約とは、お客様がお帰りになる前に、次に来店する日を決めていただくことです。
数字だけを見ると、とても良い1か月だったと思います。
ただ、私が8月3日に一番大きな成長を感じたのは、275万円という売上そのものではありませんでした。
スタッフさんが自分の目標と目の前の仕事を結びつけ、自分で行動を選んだこと。
そして、そのような関わり方ができた背景には、私自身が伴走型の経営サポートを受けてきた経験があると気づいたことでした。
7月の数字を月報で振り返りました
松下さんへ提出する月報を作りながら、7月の結果を整理しました。
税込売上は275万円。
新規のお客様は35名。
新規のお客様の次回予約率は約7割でした。


過去最高売上という結果は、もちろん素直にうれしく思います。
スタッフさんたちが日々お客様と向き合い、一つひとつの仕事を積み重ねてくれた結果でもあります。
一方で、経営者として、売上だけを見て安心してはいけないとも考えました。
私が現在、特に大切だと考えているのは、次のような数字や状態です。
・新規のお客様が何名来てくださったか
・次回予約や再来につながっているか
・新しいスタッフさんを迎えられる状態か
・現在働いてくれているスタッフさんが、無理なく続けられる環境になっているか
売上は、これらの積み重ねによって作られます。
今月だけ売上が高くても、新規のお客様が減っていたり、再来につながっていなかったり、スタッフさんが無理をしていたりすれば、長く続けられる経営にはなりません。
売上は結果であり、その手前にある行動や状態を確認することが、経営者の仕事です。
月報は、単に数字を報告するための資料ではありません。
自分が今どこにいて、どこへ向かおうとしているのかを確認するための時間でもあります。
私が伴走してもらったから、スタッフさんにも伴走できました
今回、月報を作りながら改めて感じたことがあります。
それは、私自身が松下さんから伴走型の経営サポートを受けていることが、スタッフさんとの関わり方にも影響しているということです。
伴走型のサポートとは、支援する人が先に答えを決め、相手をその方向へ動かすことではありません。
現在地を一緒に確認する。
目標との距離を整理する。
必要な視点や選択肢を渡す。
そして、最後は本人が自分で答えを出せるように支える。
私は、そのような関わり方だと考えています。


月報を提出するときも、私は単に売上を報告しているだけではありません。
うまくいったこと。
思うように進まなかったこと。
現在抱えている課題。
これから何を優先するのか。
そのような内容を整理しながら、自分の経営を振り返っています。
松下さんは、私の代わりに経営判断をするわけではありません。
数字や状況を一緒に確認し、私が考えるために必要な視点を渡しながら、最終的には私自身が答えを出せるように支えてくださっています。
私がスタッフさんに答えを押しつけず、本人の目的や選択を大切にできるようになったのは、私自身がそのように支えてもらっているからだと思います。
人は、自分が経験したことを、ほかの人にも渡しやすくなります。
私が経営について一人で悩んでいた頃は、早く正解を出すことばかり考えていました。
そのため、スタッフさんに対しても、
「こうした方がいい」
「この行動をしてください」
と、答えを先に伝えたくなることがありました。
しかし、伴走してもらう中で、正解を渡されることよりも、自分の考えを整理し、自分で納得して決めることの方が、その後の行動につながりやすいと感じるようになりました。
伴走するとは、相手の代わりに走ることではなく、相手が自分の足で進めるように、隣で現在地を確かめ続けることです。
経営者である私自身が伴走してもらい、その価値を実感できたからこそ、今度はスタッフさんに対しても、同じような関わり方をしたいと思えるようになりました。



自分が支えてもらった経験が、今度はスタッフさんを支える関わり方につながっているのですね。
学んだ知識だけではなく、実際に受けたサポートが循環しているように感じます。



そうなんです。
私自身が答えを押しつけられるのではなく、考える時間をもらったからこそ、スタッフさんにも同じような時間を渡したいと思えるようになりました。
16時30分のお客様を担当すると決めたスタッフさん
この日、16時30分からお客様のご予約が入っていました。
そのお客様をスタッフさんが担当するかどうかについて、私は本人へ選択肢を渡しました。
「もっと売上を上げたいなら担当してください」と強制したわけではありません。
担当したいのであれば挑戦できる。
目の前のお客様や自分の体調を優先したいのであれば、無理に担当しなくてもよい。
そのような形で、本人が選べる状態にしました。
スタッフさんには、プライベートで必要な費用を準備したいという明確な目的がありました。
そのため、自分の売上を伸ばし、お給料を上げたいという気持ちを持っていました。
そして本人は、16時30分のお客様を自ら担当すると決めました。
私は、その決断をとてもうれしく感じました。
単にお店の売上が増えるからではありません。
自分が達成したい目的のために、目の前の行動を自分で選んだからです。
今回、私がしたことは、スタッフさんの代わりに答えを決めることではありませんでした。
本人が望んでいる未来を確認し、その未来と目の前の仕事がどのようにつながっているのかを整理したうえで、最後は本人に選んでもらいました。
これは、私が松下さんから受けている伴走型の関わり方と、とてもよく似ていると感じました。
強制された仕事と、自分で選んだ仕事は違います
経営者から、
「このお客様を担当してください」
「もっと売上を上げてください」
「お給料を上げたいなら頑張ってください」
と言われれば、スタッフさんはその場では動いてくれるかもしれません。
しかし、強制された行動は長く続かないことがあります。
言われたから行う仕事では、結果が出なかったときに不満が残りやすくなります。
反対に、自分の目的を理解したうえで、自分で選んだ行動には責任が生まれます。
今回のスタッフさんにとって、お客様を担当することは、単なる追加の仕事ではありませんでした。
自分が叶えたい目標へ近づくための行動でした。
同じ仕事でも、その行動が何につながっているのかを本人が理解しているかによって、仕事の受け止め方は大きく変わります。
経営者が目的を押しつけるのではありません。
本人が持っている目的を知り、日々の仕事とのつながりを一緒に整理することが大切です。
経営者がスタッフさんのやる気を作るわけではない
私は以前、スタッフさんのやる気を高めることも、経営者の仕事だと思っていました。
もちろん、働きやすい環境を作ったり、目標を一緒に考えたりすることは必要です。
ただ、人のやる気を外から無理に作ることはできません。
経営者ができるのは、本人が何を目指しているのかを知り、その目標と仕事がどうつながるのかを一緒に整理することです。
本人が何を望んでいるのかを知る
お給料を上げたい。
休みを増やしたい。
技術を上達させたい。
お客様からもっと信頼されたい。
将来は店長や教育担当に挑戦したい。
スタッフさんによって、望んでいる未来は違います。
経営者が良いと思う目標を、一方的に押しつけてはいけません。
まずは、本人がどのような働き方や生活を望んでいるのかを知る必要があります。
目標と行動のつながりを整理する
目標を聞くだけでは、行動は変わりません。
例えば、お給料を上げたいのであれば、
・どのくらいの売上が必要なのか
・何名のお客様を担当する必要があるのか
・次回予約や再来率をどのように高めるのか
・今の行動を何から変えるのか
を一緒に整理する必要があります。
目標と日々の行動がつながると、今日何をすればよいのかが分かりやすくなります。
必要な情報を渡し、最後は本人に選んでもらう
経営者が答えを決めてしまうと、スタッフさんは「やらされた」と感じる可能性があります。
そのため、必要な情報や選択肢を伝えたうえで、最後は本人に決めてもらいます。
今回も、16時30分のお客様を担当するかどうかは、本人が選びました。
私はサポートが必要であれば入ることを伝え、担当しない選択肢も残しました。
選べる状態を作ることは、放任することではありません。
必要な情報と支援を用意したうえで、最終的な決断を本人に任せることです。
小さな決断の積み重ねが成長につながります
今回の行動だけで、すぐに大きな売上が作れるわけではありません。
しかし、自分の目標を持ち、自分で行動を選んだ経験は、今後の成長につながります。
一人のお客様を担当する。
次回予約をご提案する。
前回の施術内容を振り返る。
お客様へより分かりやすく説明する。
日報で自分の数字を確認する。
このような小さな行動の積み重ねが、売上やお給料につながっていきます。
経営者としては、結果を急ぎすぎず、本人が選んだ行動を見守ることも必要です。
そして、結果だけではなく、挑戦しようとした姿勢も伝えていきたいと思います。
過去最高売上よりもうれしかったこと
7月の税込売上275万円は、これまでで一番高い数字でした。
新規のお客様35名、次回予約率約7割という結果も、今後につながる良い数字だと思います。
ただ、数字は毎月変わります。
良い月もあれば、思うようにいかない月もあります。
その中で、スタッフさんが自分の目的を理解し、自分で行動を選べるようになることは、お店に長く残る成長です。
経営者が作るべきなのは、スタッフさんを強制的に動かす仕組みではなく、本人が自分の目的から行動を選べる環境です。
そして私自身も、最初からそのような関わり方ができたわけではありません。
伴走してもらい、自分で考えて決める経験を重ねたことで、スタッフさんにも同じような環境を渡したいと思えるようになりました。
支えてもらった経験が、別の誰かを支える力になる。
今回の出来事を通して、そのような良い循環が生まれ始めているように感じました。
同じ悩みを持つ美容室オーナーさんへ
スタッフさんにもっと行動してもらいたいと感じたときは、すぐに指示を増やすのではなく、次の順番で考えてみるとよいかもしれません。
まず、本人が何を望んでいるのかを聞きます。
次に、その目標と仕事の行動がどのようにつながるかを一緒に整理します。
必要な数字や情報、選択肢を渡します。
そのうえで、経営者が答えを決めるのではなく、本人に選んでもらいます。
最後に、結果だけではなく、本人が自分で決めて行動したことを認めます。
スタッフさんを放置するのでもなく、経営者がすべて決めるのでもありません。
必要な情報と支援を渡し、本人が自分で選べる状態を作る。
それが、主体性を育てるための一つの方法だと、今回の経験から学びました。
未来の自分へ残しておきたいこと
売上が良いときほど、数字だけを見て満足しないこと。
その数字が、どのような行動や成長によって作られたのかを確認すること。
スタッフさんの目標を、経営者の都合で利用しないこと。
自分が支えてもらっていることへの感謝を忘れないこと。
自分が受け取った伴走型の関わりを、今度はスタッフさんにも渡していくこと。
スタッフさんの代わりに答えを出すのではなく、本人が自分の足で進めるように支えること。
7月の過去最高売上は、とてもうれしい結果でした。
しかし、それ以上に、スタッフさんが自分の目的を持って一歩進んだこと。
そして、私自身が受けてきた支援を、少しずつ周りへ返せるようになってきたことを忘れないようにしたいと思います。



売上を上げる方法を教えるだけではなく、本人が自分で考えられるように支えることが大切なのですね。
私も、すぐに答えを伝える前に、スタッフさんの考えを聞く時間を作ってみます。



伴走してもらった経験が、スタッフさんへの伴走につながったのですね。
支援が人から人へ循環していく、とても大切な学びだと思います。



私もまだ試行錯誤の途中です。
ただ、人を動かそうとするより、その人が自分で進める環境を作ることを、これからも大切にしていきます。
