スタッフさんの目標時期を、オーナーが勝手に決めない|9月28日の経営ログ

トラ吉

覚さん、スタッフさんが「もっと稼ぎたい」と言ったとき、オーナーとしてすぐ目標設定をしてあげた方がいいんでしょうか?

タカシナ カク

その気持ち、本当に分かります。
以前の私は、良かれと思って、「じゃあ月いくら売上を上げよう」と、すぐに答えを出していた時期がありました。
ただ最近は、金額と時期を、オーナーの方で決めすぎないようにしています。

うさ美

今回は、2026年9月28日に行ったスタッフAさんとの個別面談を振り返りながら、スタッフさんの収入目標と働き方について覚さんが考えたことをまとめた記事ですね。

2026年9月28日は、スタッフAさんとの個別面談でした。前回は7月30日なので、こちらも約2か月ぶりの面談です。この日は、評価や査定が目的ではなく、スタッフAさんが、無理のない範囲で、希望する働き方や収入へどう近づいていくかを、一緒に整理する時間として設けました。

面談を進める中で、改めて感じたのは、オーナーがスタッフさんの将来を真剣に考えるほど、「こうした方がいい」「ここまでやれば届く」と、答えを先に出したくなるということでした。悪気はありません。ただ、良かれと思って先に答えを出した瞬間に、それは本人の目標ではなくなってしまう気がしました。

スタッフさんの目標は、金額だけでなく、「いつまでに達成したいか」も含めて、本人に決めてもらうこと。これが、今回の面談で改めて自分に言い聞かせたことでした。

目次

スタッフAさんの、現時点の仕事ぶり

まず、現在のスタッフAさんの仕事状況を、簡単に整理します。

数字と状態の整理

この時点でのスタッフAさんは、

  • リピートのお客様は40〜50名程度で安定している
  • 新規のお客様も、月に5〜10名程度の入客がある
  • お客様対応は、以前より安定してきている
  • お店の考え方や価値観も、よく理解してくれている
  • これから入ってくるスタッフさんへ、伝えられることも増えてきた

という状態でした。

数字そのものはまだ伸び代があります。ただ、仕事の安定度と、お店全体への貢献という視点で見ると、1〜2年前とは明らかに違う位置に立っていると感じています。

数字だけでスタッフさんを見ない

以前の私は、スタッフさんを売上の数字だけで見ていた時期がありました。もちろん、売上は大事です。ただ、売上だけで判断してしまうと、お店全体への貢献や、お客様との関係性の積み上げが見えにくくなります。

この辺りは、以前の記事「なんとなく」で経営しない。数字・スタッフさん・勤怠を一気に整理した9月のスタートでも触れた「数字と感情の両方を見る」という考え方と、どこかでつながっています。

うさ美

数字と、それ以外の貢献を、両方見るイメージですね。

タカシナ カク

そうなんです。
数字だけ見ていると、どうしても足りていない部分だけが目に入ります。
ただ、お店の空気を作ってくれる人や、他のスタッフさんのために動いてくれる人の価値は、数字に表れにくいので、面談のときには必ず言葉で確認するようにしています。

収入についての希望を、本人の口から聞いた

この日の面談で、少し踏み込んで聞いたのが、収入についての希望でした。

今までは、「もう少し稼げるようになりたいかどうか」くらいまでしか聞いていませんでした。ただ、長く働き続けてもらうことを考えると、具体的な金額感と、達成したい時期について、一度本人の口から聞いておきたいと感じていました。

「手取りで25万円くらい」という希望

スタッフAさん本人からは、手取りで25万円前後を、一つの希望として聞くことができました。

これは、「絶対にその金額が欲しい」というより、「今の生活を維持しながら、少し余裕を持って暮らせる水準」という趣旨の金額だと受け取りました。

ここで大事だったのは、金額を聞いたあとに、オーナー側で勝手に「じゃあ月いくら売上を作ろう」と逆算しなかったことです。

金額だけで、売上目標を渡さない

以前の私だったら、「手取り25万円なら、月の売上はこのくらい必要だから、月◯◯万円を目指そう」と、その場で逆算して伝えていた可能性があります。

ただ、収入を上げるには、売上を増やす以外にも、

  • 客単価を少しずつ上げる
  • リピート率を上げる
  • 紹介を増やす
  • 働き方そのものを見直す

など、複数の道があります。金額を聞いて、すぐに売上目標を渡してしまうと、本人は「売上を増やすこと=正解」と受け取ってしまいます。そこは、少し注意したいところです。

「いつまでに」をオーナーが決めない

そのうえで、面談の中で一番意識したのが、「いつまでにその収入へ届きたいか」を、オーナー側で決めないということでした。

本人からは「来年中くらい」という答え

この質問に対して、スタッフAさん本人からは、来年中くらいを一つの目安にしたい、という趣旨の答えがありました。今年は無理をしすぎず、生活や身体のバランスを崩さない範囲で進めていきたい、という気持ちも伝わってきました。

私としては、この時期設定を、オーナー側から「もう少し早く」「もう少し遅く」とずらす必要はないと感じました。

本人の目標の中には、金額だけでなく、達成までの時間感覚も含まれます。そこをオーナーが勝手に書き換えてしまうと、「オーナーに言われたから頑張る」という形になりやすく、本人の中で燃料が切れやすくなる気がしています。

目標時期を決めるのは、本人の仕事

オーナーができるのは、

  • その金額に届くには、どんな選択肢があるかを一緒に整理する
  • その選択肢ごとの、身体や時間への負担を一緒に見る
  • その中で、本人が「このくらいの期間でやりたい」と思える形を見つける手伝いをする

というところまでだと、今は考えています。

最終的な時期を決めるのは、本人の仕事です。オーナーが時期まで決めてしまうと、それはもう、本人の目標ではなくなります。

【面談で本人に聞いた4つの質問】

・どのくらいの収入が、生活のうえで無理がない水準か
・いつまでに届いたら、気持ちとしてうれしいか
・身体への負担は、どのくらいまでなら許容できそうか
・仕事量を増やすなら、どこから手をつけてみたいか

答えを渡さず、本人の言葉を待つ時間を意識的に作りました。

トラ吉

正直、ここは難しいです。
オーナーとしては、「このくらいでいけるよ」と、少しでも引き上げたくなります。
でも、それが本人の時期を奪ってしまうこともあるんですね。

タカシナ カク

そうなんです。
私も、口に出しそうになるのを、何度か飲み込みました。
「このくらいなら半年で届く」とこちらが言った瞬間に、本人は「半年で届かなかった自分」を責めるようになってしまう気がして。
そこは、本人の時間感覚を優先したいと思いました。

収入と、身体への負担を一緒に考える

収入の話をするときに、気をつけたいのが、売上の数字だけで会話を進めないことです。収入は、身体や時間と常にセットだと感じています。

身体を壊すほど働いてほしいとは思っていない

私自身、スタッフさんに、身体を壊すほど働いてほしいとは思っていません。これは面談でも伝えました。

ただし、収入を上げたい場合、現在と全く同じ仕事量・数字のまま、給料だけを上げ続けることは、お店として難しいという事実もあります。これは隠さずに話しました。

給与は、売上から人件費を払って、材料費や固定費、将来のための投資などを引いて、残ったお金から出ます。売上がそのままで、給与だけが上がっていくと、お店の継続自体が難しくなっていきます。これは、スタッフさんにとっても、長い目で見るとマイナスです。

どこなら、少し仕事量を増やせるか

そのうえで、本人が希望する収入へ近づくまでの期間に、

  • どこなら、少し仕事量を増やせるのか
  • どのメニューの比率を変えたら、無理なく客単価が上がりやすいか
  • どのお客様層に、もう少し力を入れるとリピートしていただきやすいか

といったことを、本人と一緒に見ていきたいと話しました。

これは、オーナーが答えを押し付けるのではなく、一緒に試行錯誤する方向性です。答えが決まった課題ではないので、何度も話し合いながら、少しずつ形にしていくことになると思います。

お金だけでなく、時間でも還元できる店にしたい

もう一つ、面談で伝えたのが、お金だけでなく、時間でも還元できる店にしたい、という考えでした。

売上が安定してきたら、

  • 遅出
  • 早上がり
  • 休憩時間の柔軟な取り方

など、時間に関する選択肢を増やしていきたい、という方向性を話しました。これは制度として決まっているわけではなく、あくまで「そうしていきたい」という段階です。

以前書いた「人が増えれば喜ぶ」と思っていた。採用をスタッフさん側から考え直した日でも触れたように、スタッフさん側に立って考えると、収入だけでなく時間や空気も、働き続けやすさに大きく関わると感じています。

紹介による新規のお客様と、還元の話

この日は、紹介による新規のお客様を増やす仕組みについても、少し話しました。

紹介したスタッフさんと、担当したスタッフさんの関係

紹介で来てくださった新規のお客様は、既存のお客様にご紹介いただくことで来店してくださる方です。この場合、

  • そのお客様を担当したスタッフさん
  • そもそもその新規のお客様を紹介してくれた、既存お客様の担当スタッフさん

という2人のスタッフさんが関わっていることになります。

そのため、紹介で来てくださった方の売上を、どのように二人のスタッフさん同士で分けるか、という話が出ました。

制度として決まった話ではない

ここで大事なのは、これはあくまで会話として出た段階であって、制度として決定したものではないということです。

金額の分け方、割合、頻度、記録方法など、まだ決めなければならないことがたくさんあります。感覚だけで走り出すと、途中で不公平感が出てしまう可能性もあります。

そのため、この話は、今回の面談では「こういう考え方もあるね」と確認したところで止めました。これから、他のスタッフさんの意見や、お店全体の仕組みと合わせて、慎重に考えていきたいところです。

うさ美

決めてしまう前に、「こういう形もあるよ」と話せる段階があるのは、スタッフさんにとっても安心ですね。

タカシナ カク

そうですね。
いきなり決めて渡すと、スタッフさんは「もう決まったこと」として受け取ります。
そうではなく、「今、こういう案を考えています」と話せる関係にしておきたいんです。
決まる前に意見が出せる状態こそ、仕組み化の前提だと思っています。

「親心で先回りしすぎない」という自分への言葉

今回の面談で、私が自分自身に一番言い聞かせていたのは、親心で先回りしすぎないという言葉でした。

以前の私なら、答えを先に出していた

正直、以前の私なら、「じゃあ、こうしていこう」「このくらいの目標でいいんじゃないか」と、面談中にその場で答えを出していた可能性があります。

オーナーが答えを出すことは、短期的には早いです。本人も「決めてもらえた」と、少し安心するかもしれません。

ただ、長期的には、オーナーが答えを出し続けると、スタッフさん本人が、自分の仕事や自分の人生を自分で選ぶ力を使う機会が減っていきます。これは、本人のためにも、お店のためにも、良くない方向だと感じるようになりました。

考えてもらう時間を、ちゃんと取る

今回は、意識して、「本人に考えてもらう質問」を増やしました。たとえば、

  • どのくらいの収入が、生活のうえで無理がないか
  • いつまでに届いたら、気持ちとしてうれしいか
  • 身体への負担は、どのくらいまでなら許容できそうか
  • 仕事量を増やすなら、どこから手をつけてみたいか

という質問です。

こちらから答えを渡さず、少し沈黙があっても、待つようにしました。沈黙の時間が、本人の中で言葉を探している時間だと分かってきたからです。

この辺りは、以前書いた店を良くしたくて、今うまくいっているものまで壊しかけていた。でも触れた「意見は聞く。でも、決めるのは経営者」という考え方と、裏表の関係にあるかもしれません。決めるのは経営者だからこそ、本人に意見を言う余白を残しておく必要があるという感覚です。

未来の自分への経営メモ

【未来の自分への経営メモ】

・本人の目標を、オーナーが決めない
・金額だけでなく、達成したい時期も聞く
・時期をずらそうとしない
・収入と、身体や時間への負担を一緒に考える
・親心で、答えを先回りしすぎない
・お金だけでなく、時間でも還元できる店を目指す
・紹介還元のような案は、決めてしまう前に話す
・沈黙の時間を怖がらない
・数字だけでスタッフさんを見ない
・考えてもらう質問を、意識して増やす

まとめ ─ 目標を「渡す」のではなく、「一緒に整理する」

今回のスタッフAさんとの面談で、私自身が改めて感じたのは、オーナーの仕事は、目標を渡すことより、本人が自分の目標を言葉にするのを手伝うことだ、ということでした。

手取りで25万円という希望、来年中くらいに届きたいという時期感、身体を壊さない範囲で働きたいという前提。これらは、オーナーが決めたものではなく、本人の口から出てきた内容です。

そのうえで、お店としては、

  • その金額に届くための複数の選択肢を一緒に整理する
  • 身体への負担を一緒に見る
  • お金だけでなく、時間でも還元できる状態を目指す
  • 紹介還元のような案は、決める前に相談する

というところまでは、きちんとやっていきたいと思っています。

目標時期をオーナーが決めてしまうと、それは本人の目標ではなくなります。急がせないこと、答えを渡しすぎないこと、親心で先回りしすぎないこと。この3つを、これからの面談でも大事にしていきたいと思いました。

トラ吉

正直、「決めてあげた方が親切」だと思っていました。
でも、本人の時期を奪ってしまうことがあるんですね。

タカシナ カク

私もそう思っていた時期があります。
今は、少し違います。
決めてあげることと、本人の目標として一緒に整理することは、別物だと感じています。
急がず、焦らず、本人のペースを尊重しながら進めたいです。

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